人材派遣、職業紹介、業務・軽作業請負

技術系専門、IT、医療、介護、育児、建設、生活支援などを中心に今後も求人数は増加傾向

業界の概要

人材ビジネスは人材派遣、職業紹介、軽作業請負の大きく3区分に分けられる。厚生労働省「労働者派遣事業報告」によると2014年6月1日現在の派遣事業所数は70,598事業所(対前年同期比△5.1%、△3,770事業所)、派遣された労働者数(常時雇用労働者、常時雇用以外の労働者合計)は、一般労働者派遣+特定労働者派遣の合計で1,255,936人(対前年同期比△1.4% △17,266人)となっている。

人材派遣業は労働者派遣法が規定されており、登録型の「一般労働者派遣業(許可制)」、常用雇用型の「特定労働者派遣業(届出制)」に大きく2つに分けられる。但し労働者派遣法は見直しが著しい。「2015年9月1日施行の労働者派遣法の見直し」では左記2区分(一般、特定)が廃止され、全ての労働者派遣事業を許可制に変更、専門業務等のいわゆる「26業務」の期間制限をかからず、その他の業務には最長3年の期間制限としている現行制度を廃止し、事業所単位の期間制限(派遣先の同一事業所における派遣t労働者の受け入れ上限3年。)と個人単位の期間制限(派遣先の同一の組織単位における同一の派遣労働者の受入れ3年上限)等の導入など、業界に大きな変化と影響をあたえることが予想される。

職業紹介業は職業安定法で規定されており、紹介社の就職がきまると求人企業から仲介手数料が支払われる成果報酬型の仕組みが一般的である。また業務・軽作業請負は業務そのものを請負、自社スタッフを客先に提供して業務を行わせるのが一般的であり、人材派遣とは違い、派遣先から業務・作業時における指示、命令等は禁止されており、いわゆる「偽装請負」が大きな問題となっていた時代もあった。

厚生労働省の有効求人倍率は、リーマンショック後に記録した0.4倍台から、毎年順調に上昇していき、2015年5月の有効求人倍率は1.19倍と今後も求人数は高いレベルで推移すると予想される。業界によっては人手不足や人件費の高騰などから派遣社員や請負社員の増加、経験者や幹部候補人材等の組織強化を狙う企業からの需要で職業紹介業についても活気づくことが期待される。但し、人材ビジネス業界は国内景気や企業業績の影響がダイレクトに現れる業界であるので景気、各種統計等を注視する必要がある。

 

各種統計

有効求人倍率の推移(平成24年3月~平成27年5月)
(1)極めて求人倍率が高い業種(期間中の最大倍率が3.0倍以上、最少倍率1.0以上)有効求人倍率1

(2)求人倍率が高い業種(期間中の最大倍率が3.0倍未満1.3以上、最少倍率1.0以上)有効求人倍率2

派遣事業所、派遣労働者数 派遣事業所、派遣労働者数


注目すべき業種の派遣労働者数
専門26業種において以下4業種に注目。事務用機器操作は、専門26業種の中で最大の派遣人数であったが、リーマンショック以降は大幅に減少し2014年6月はピーク時の半分以下となっている。 一方でソフトウェアなどのIT派遣、WEB関連については安定しており、2013年頃から需要が増加傾向にあり、この傾向は今後も続くと予想される。また研究開発や機械設計などの技術専門分野は 安定した人員数が続いており景気に左右されにくい業種である。注目すべき業種の派遣労働者数

人材派遣業の中小M&A状況

小規模、中小企業のM&A状況として、IT派遣会社(ソフトウェア開発、WEB制作など)、保育士派遣、介護士派遣、技術者派遣などのある分野に特化した会社に対する買収、または買収希望の問合せが散見される。一方で製造派遣、一般事務派遣、軽作業派遣などのM&Aは以前ほど多くはない。ある分野に強みをもつ派遣会社へのM&A需要は、人材確保・派遣者登録数の増加を目的としてさらに増えていくと予想される。

主要企業(上場企業またはその主要子会社)

  • ・テンプホールディングス     連結売上高401,056百万円(2015年3月期)
  • ・パソナグループ         連結売上高208,660百万円(2014年5月期)
  • ・リクルートスタッフィング    連結売上高166,830百万円(2015年3月期)
  • ・メイテック           事業売上高82,136百万円(2015年3月期)

関連法規

  • ・労働者派遣法
  • ・職業安定法

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