生命保険業界
国内市場は縮小傾向だが、海外市場進出や新サービス提供による差別化などが活発化の傾向
業界の概要
国内の生命保険市場の収入保険料は約39兆円(2015年3月期)であり、大手4社(日本生命、明治安田生命、 第一生命、住友生命。但し、かんぽ生命は除く)が5割弱(約17兆円:2015年3月期)のシェアを握る。国内生保事業は、少子高齢化による需要減に加え、家計の保険見直しなどの影響により市場の縮小が続いている。また、補償金額の大きい死亡保障保険から医療保険などの第3分野保険や貯蓄性保険への移行が進む。さらに安さを売りにしたネット生保が定着したことによって業界構造は変化しつつある。国内市場の成長に期待が持つのは難しい中で、生保各社は新サービス提供による差別化や、大手各社は収益基盤を拡大するために海外でのM&A(買収や業務提携)を加速している。アジアなど新興国のほか、欧米豪など先進国への投資も増加、積極的な海外市場の開拓で事業構造の変革を図る。
生保の販売チャネルは、従来から中心となっている(1)営業職員による販売活動、(2)対面型として銀行の窓口販売や来店型保険ショップ、(3)非対面型として通販やインターネットなど、急速に多様化している。ネット専業生保などによるシンプルで低価格な商品の販売が伸長する一方、高度なコンサルティングに対する消費者のニーズも依然として高い。今後、営業職員の育成強化とともに各チャネルでの販売体制の整備と、チャネル特性に適合した商品の開発、投入が各社の成長のカギとなる。
生命保険 収入保険料の推移
(出典:生命保険業界「生命保険事業概況」)
生命保険 保有契約数の推移
(出典:生命保険業界「生命保険事業概況」)
生命保険 M&A状況
大手による海外M&Aが活発化。2014年7月にはオリックス生命保険が、米国のハートフォード生命を完全子会社化。2015年2月に第一生命保険が米国の中堅生保プロテクティブ生命を約5,750億円で買収して子会社化。東京海上ホールディングスは同年6月に米保険大手を約9,400億円で買収すると発表。さらに2015年7月には明治安田生命保険は米生保中堅のスタンコープ・ファイナンシャル・グループを約6,000億円で買収する方針を発表した。2015年8月には住友生命保険は米中堅生保のシメトラ・ファイナンシャルの買収について基本合意を発表した。このように大規模な海外M&Aが生命保険業界では非常に加速している。
生命保険 主要企業の保険料等収入
- ・かんぽ生命保険(株式組織) 5,956,716百万円(2015年3月期)
- ・第一生命保険(株式組織) 5,432,717百万円(2015年3月期)
- ・日本生命保険(相互組織) 5,337,118百万円(2015年3月期)
- ・明治安田生命保険(相互組織) 3,408,447百万円(2015年3月期)
- ・住友生命保険(相互組織) 2,579,517百万円(2015年3月期)
- ・アメリカンファミリー生命保険(日本) 1,531,663百万円(2015年3月期)
- ・メットライフ生命保険(株式組織) 1,747,608百万円(2015年3月期)
- ・ジブラルタ生命保険(株式組織) 1,366,679百万円(2015年3月期)
- ・ソニー生命保険(株式組織) 914,034百万円(2015年3月期)
生命保険 関連法規